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Kindle Fire はひょっとすると博打プリンタ鴨
例の4000円のプリンタはちょいと極端だとしても、CanonにせよEPSONにせよ一万円を割るプリンタは出していて、いずれにせよこれらの安物プリンタは原価割れではないかと思われたりもするわけだ。
そのかーり、インクが高価い。インクの利益率はたいしたもんであらふ。だからこそ、Canonはサードパーティの代替インクについて、訴訟までやっておったわけだぁなぁ。
このインクコストに業を煮やす人は多く、話は飛ぶが、ワシが聴いて面白いと思ったのは、名工大大学院の化学専攻のヤツが本題放っておいて代替インクの開発に血道を上げたという話で、だけど結論としては、コスト割れを起こすと、つまり買ったほうが早いという結論になったという。
ビンボ学生には買えんからやっておったわけで、結局ソイツは各研究室を回って廃棄インクタンクを回収してまわり、そこから残りインクを抽出してようやっとイッコこさえる方法を事業プランとしたという話だ。廃品回収業であるw。
ま、プリンタ用インクと簡単に言っても、どうもそこには相当に高度なノウハウが詰まっているらしく、ワシはこの名工大大学院の話を聴いて、んじゃあの値段もしゃあないんだろうなぁと思った次第だ。
で、話は戻る。インクが高価だ。高価なので利益率も高く、おそらくコッチでメーカ各社は利益を得ているのであらふ。インクで利益を得るために、プリンタ本体は投資というか投機的に安価で市場に投入しているのであろうという話だ。
んでつまり、KindleFireの199ドルという設定もソレとちがうかというように話は展開する。Amazonとしては、こんな売り切りのTabletで得る一回限りの利益などより、今後継続して得られる大量の書籍コンテンツダウンロード料のほうがデカい。
なのでKindleに関しては博打プリンタ価格なのではないかということだ。
そうだとすると、このKindleFire、アメリカでは11月末の発売だというが、日本では早くとも来春ぐらいまでは出てこないかも知れない。日本はコンテンツ市場が遅れているので、Amazonにとっては売り切りKindleは投資しっ放しで回収のない、丸損マシンとなる恐れがあるからだ。プリンタはインクがなきゃタダの粗大ごみだが、Kindleの場合は別に、書籍コンテンツを読まねばならぬという義理はオレラにはない。
もっとも、以上はKindleFireの価格設定が博打プリンタなみだとした場合の話であって、中華パッドの実勢価格ががだいたい同じぐらいであることからすれば、まぁ博打でもなんでもないのかも知れない。その場合は年内に ぽち する私であろう(--;)。
ところで、日本で書籍のデジタルコンテンツが普及しない理由はなんだと考えると、これはもう、明らかに価格が高価過ぎることにある。出版社は本音では書籍のデジタル化をしたくないらすぃ。
日本の出版物の流通マージンはおよそ6割。著作者が1割、モノとしての書籍を製造する出版社の取り分が3割。ぐらいらしい。当然、書籍によって前後する。
ここからすると、デジタル化すると書籍の価格はおよそ70%ほど下げられることになる。そうすると流通者としての書店業界は壊滅するが、ワシとしては、出版社が書店業界の保護まで考えてくださるような有難いお方とは思えず、まぁおそらく障害となっているのは、日本型流通システム、つまり大手取次の横槍であらふなぁ。
となると、ゲリラ出版の時代であるなぁ。。。なるほど、そういうことかと書きながら自分で納得する。
ごめん、話は長い。
同じような図式がバッチリ当てはまるのは、日本の新聞システムだ。アレの場合は、新聞購読価格のほぼ百%が配達店の取り分である。新聞社本社は広告代で食っておる。朝夕、ジョギングがてら200軒ばかりに新聞配達をすると
年収一千万円である。そう簡単には問屋がというか既存利権が許さんが凸。
という構図があるもんだから、日本の新聞コンテンツのデジタル化は一向に進まん。某日本経済新聞なんてところは、本来ならこのカテゴリでトップを走れると思うのだが、ぬぁんと、「新聞宅配を受けている場合は、あとたった千円プラスすると」電子版が読めるという、全くわけのわからん価格設定となっている。流通にどんだけおんぶにだっこしとるんじゃい。
腹が減ったので結論にワープ。
かわら版以来、およそ150年。たった150年か。で、その間に日本伝統型システムがでけてしもとる。
モノとしてのデジタル化がでけたからと言って、そうそう簡単には切り替わっていかんのだろうなぁ。
ま、しょうがない。郵政民営化より手強い。